世界のボクシングと日本のボクシング

世界のボクシングと日本のボクシングとは、メジャーリーグと日本の野球以上に差がある・・・

2017年05月

八重樫の1RKO負けの要因

八重樫とミラン・メリンドの試合は1ラウンドで終わってしまいました。ラッキー・パンチ1発で終わるのではなく、きれいなコンビネーションで3回も倒されての完敗でした。

以前、大橋がリカルド・ロペスと戦った時もきれいなコンビネーションで何回も倒されてましたね。

大橋がロペスに倒された時は、ロペスがフェイントをたくみに使ったこともありますが、ノーモーションでかつ内側からパンチが来るため、大橋はロペスのパンチが見えてませんでした。今回の八重樫も、メリンドのパンチが見えてませんでした。ノーモーション、あまりにも高速(おそらく八重樫はメリンドほどの高速コンビネーションの相手とは試合をしていない)、コンビネーションがフック・アッパー・上下をからめるため、目がついていけない等の理由で、八重樫はパンチが見えなかったのできかされました(見えないパンチはとてもききます)。

さらに、メリンドのパンチはテンプル(1回目のダウン)、あご(2回目と3回目のダウン)と急所をピンポイントでうってくるので、かなりの威力なのでした。こんなパンチをまともに食えば、倒れます。

ちなみに、メリンドは対戦前は35勝で12KOとパンチ力がないと思われてました。実際、フィリピン人の中ではパンチがないほうですが、倒す技術はもってます。フィリピン在住の関係者の話では、ミニマム級からフライ級にあげた時、スーパーフライ級の韓国人を簡単に2ラウンドで倒したとも聞いてます。また、メリンドは対戦相手の質が高いため、KO勝ちが少ないとも伺ってます。

今回の1ラウンドでのKO勝ちは、八重樫とメリンドとの実力差が大きすぎたこと、八重樫がメリンドのパンチが見えなかったことに要因したのでしょう。

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海外で勝てない日本人

先日、村中がイギリスで世界挑戦しましたが一方的な内容で完敗しました。海外で世界奪取した日本人ボクサーは、2000年以降は高山、江藤、亀田三男しか記憶にありません。

また、海外で防衛を成功させた日本人ボクサーは渡辺二郎、西岡、三浦(これら3人は真の世界チャンピオンと呼べます)のたったの3人です。

先日の村中対ヤファイの一戦ですが、村中があまりにもパンチがないので、村中のパンチがあたってもヤファイのガードは崩れないし、クリーンヒットしてもヤファイは全く体勢が崩れません。一方、村中はあてられるたびに、体勢が崩れたり顔がはねあがったりしてとても見栄えが悪い。これでは、ポイントは全くとれません(118-110、119-107、119-107、ヤファイの減点がなければさらに点差は開いていた)。

以前、日本では無敵を誇っていた佐藤がシュトルムに挑んだ試合も佐藤のパンチは全てガードされ、シュトルムの左ジャブがあたるたびに佐藤の顔がはねあがっていた(結果は7ラウンドTKO負け)。

日本以外で戦うには、日本で戦うような日本人びいきな判定の恩恵は受けられないので、もっとパンチの力をつけ、頑丈さ(特に体幹)をつけなければ、今後も大半の日本人ボクサーは日本でしか勝てないでしょう。

加えて海外で試合する場合は、日本でやるようにかませ犬や無理やりランキングに入れたボクサー等とは試合ができないので、テクニックももっと磨きをかけなければならないのです。今の日本人ボクサーの環境(トレーナーやマッチメイク等)では、かなり難しいでしょうね。
 
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世界チャンピオンの価値

弱い世界チャンピオンがいる時代になってしったのですが、以前は世界チャンピオンの価値は今とは比べ物にならないほど高かったのです。

例えば、白井義男さんが日本人で初めて世界チャンピオンになった時は世界チャンピオンは世界で8人しかいなかったのです(今は70人以上)。というのも、今は17階級あるのですがたった8階級しかなかったし、その少ない階級でたった一人しか世界チャンピオンはいなかったのです。

白井義男さんは、戦争で貴重な時期を奪われブランクを作り、落ちぶれていく途中(腰痛持ちで引退寸前の時期)でカーン博士と出会い、打たせずに打つ戦術やフォロースロー等を習い、世界チャンピオンになったのです。世界チャンピオンのダド・マリノが日本に来て銀座をパレードした時は、チョンピオンを一目見ようと何万人の人が沿道に集まったのです。それだけ、世界チャンピオンの価値があったのです。さらに、後楽園球場での世界戦は4万人の観客が集まったのです。

そして、白井義男さんがタイトルを失った後、ファイティング原田さんが戴冠するまでの8年間、世界チャンピオンが生まれなかったのです。関光徳さん、野口恭さん、米倉会長、矢尾板さん等、レベルの高いボクサーがたくさんいたのですが、本物の世界チャンピオンの壁は相当高く、挑戦するたびに跳ね返されたのです(世界挑戦も難しかったのでしょう)。
 
余談ですが、当時から日本のボクシングは遅れていて、またトレーナー等もひどかったようです。例えば、矢尾板さんのジムの会長はたびたび練習生に罵詈雑言をあびせていたようで、負けたボクサーには、「いくじなしめ」等罵ったりしたと伺ってます。矢尾板さんは、そういったことで突然引退してしまったと聞いてます(公式には膝の故障)。一方、白井義男さんを世界チャンピオンのステージまでおしあげたカーン博士は、真逆でした。例えば、アメリカから新発売の止血剤をとりよせた時は、実際に効くかどうかを調べる為に、カミソリで自分の血を切って薬を塗って試したのでした。技術だけでなく、ボクサーに対しての接し方が全く違うのです。

だから、昔も今も日本人のトレーナー等はレベルが低く、尊敬されないのでしょう。話はそれましたが、世界チャンピオンとはまさに王様だったのです。今、仮に8階級で世界チャンピオンはたったの8人にしてしまうと、日本人の世界チャンピオンは存在しないでしょう。そればかりか、2000年以降の日本人世界チャンピオンは全員駄目でしょう・・・

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